雪印メグミルク株式会社
乳製品メーカーとして大手の雪印.一時期不祥事を起こしていましたが現在はどうなっているのか.
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
雪印メグミルクとは?
創業:1925年
売上高:5961億円
従業員数:5009名
本社:東京都新宿区,北海道
勤務地
募集職種は事務系,技術系で分かれています.
事務系→全国各地
技術系の研究職→北海道・埼玉・山梨
技術系の開発職→北海道・茨城・千葉・埼玉・神奈川・愛知・京都・兵庫・福岡
比較的関東周辺が多いイメージです.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「統合報告書 2018」より引用しています.
(エクセルは資料に基づき作製したオリジナルです.)
雪印メグミルクの売上高及び営業利益推移は以下のようになっています.
2011年に雪印乳業,日本ミルクコミュニティが経営統合し,雪印メグミルクとなって以降,売上高は増加し続けています.これは主に乳製品事業(バター・ミルク・チーズ)が堅調に推移しているためであり,特に栄養意識の高まりや家のみ需要よってチーズの需要増加が顕著となっています.
一方で,営業利益率は横ばいで3%前後と低調に推移しています.これは飲料・デザート事業,種苗事業の営業利益率が低くなっていることに由来します.サードパーティが多く,また,主力商品の一つである牛乳の市場規模減退に伴って,業界全体として低い値を取る傾向にあります.
また,純利益推移は以下のようになっています.
純利益は概ね営業利益と同様の動きをしており,近年は大きな減損を発表していないので,赤字に転落したことはありません.
また,雪印メグミルクは乳製品,飲料・デザート類,飼料・種苗の3事業を展開しており,その売上高構成比は以下のようになっています.
乳製品セグメント,飲料・デザート類の2本柱であることがわかります.また,注視すべきポイントとして,雪印メグミルクは海外展開をほとんど行っていません.2012年以来において100億円を目指す回答以降,数値として出てきていないので,100億円以下,すなわち海外売上比率が2%以下であると推測されます.
乳製品セグメント
乳製品セグメントはバター・マーガリン・チーズ等を取り扱っています.主要ブランドとしては,「雪印北海道バター」「ネオソフト」「SNOW 6P」等などが存在しています.
乳製品セグメントの売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
売上高は増加傾向,営業利益率は減少傾向にあります.売上高の増加は主に健康意識の高まりや食の多様化によって乳製品自体の市場規模が増加したことに由来します.一方で,営業利益率の低下は原料乳コストの増加に依るものと発表されています.
売上高の構成比は以下のようになっています.
チーズが過半を占めていることがわかります.
雪印メグミルクは乳製品市場においてトップシェアを誇っており,
バター:32.8%(No.1)
マーガリン:37.2%(No.1)
チーズ:18.7%(No.1)
となっています.また,乳製品市場自体は今後も拡大が続いていく見通しであり,高い将来性がうかがえます.
一方で,乳製品セグメントにおいては海外展開を行っていますが,上手くはいっていないようです.展開先としてはインドネシアやオーストラリアなどを主とした東南アジア地域となっていますが,数値に関しては殆ど公表されていません.唯一,インドネシアにおいてブロックタイプのチーズでシェア30%を確保しているようです.
飲料・デザート類セグメント
飲料・デザート類セグメントでは牛乳・ヨーグルト・その他飲料を取り扱っています.主要ブランドとしては,「牛乳雪印メグミルク」,「恵」(ガゼリ菌SP株を用いたヨーグルト),「雪印コーヒー」,「CREAM SWEETS コーヒーゼリー」等が存在しています.
飲料・デザート類セグメントの売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
売上高は微増傾向,営業利益率は非常に低い値で推移しています.売上高は市場規模が縮小し続けている牛乳における売上減と市場規模が拡大し続けているヨーグルトがせめぎ合い,辛うじて増加傾向を維持しています.営業利益率に関しては,内訳が公表されておらず判然としませんが,乳業全体の傾向として牛乳の営業利益率が非常に低く,原料乳コストの増加から赤字になることも多く,足を引っ張っています.
売上高の構成比は以下のようになっています.
満遍なく構成されていることなく分かります.
また,主要なシェアとしては以下のようになっています.
牛乳:7.2%(No.2)
ヨーグルト:11.0%(No.2)
チルドデザート:11.9%(No.2)
No.2に位置付けており,乳業大手と言われるだけあります.
飼料・種苗セグメント
飼料・種苗セグメントでは,飼料,種苗,緑化,造園,肥育等を行っています.
飼料・種苗セグメントの売上高・営業利益率推移は以下のようになっています.
売上高は横ばい,営業利益率は微増傾向にあります.売上高は飼料業界の市場規模が縮小する中健闘していると言えます.営業利益率は単なる飼料の製造・販売からその周辺サービスまで拡充することによって改善が進んでいます.
売上高構成比は以下のようになっています.
雪印メグミルクの強み
- 乳製品全体における高いシェア
バター:32.8%(No.1),マーガリン:37.2%(No.1),チーズ:18.7%(No.1),牛乳:7.2%(No.2),ヨーグルト:11.0%(No.2),チルドデザート:11.9%(No.2)と非常に高いシェアを握っています.今後の市場動向として,牛乳以外はまだ伸長する見込みです.ただし,日本の人口減少に伴っていずれは縮小していくことは抗いようのない事実です.
- 機能性食品
少子高齢化社会において機能性食品は需要が増加することが見込まれる有望分野であり,半世紀に渡り研究を行ってきた乳関連の成果が活かされています.ニュートリッション分野として独立し,売上高が拡大傾向にあります.
雪印メグミルクの弱み
- 営業利益率の低さ
乳業の会社全般に言えることですが,営業利益率が高くはなく,慎重な舵取りが求められています.
- 海外売上比率の低さ
上記しましたが,2012年に100億円を目指すと公表して以降,まともな報告がなされていません.芳しくない状況が続いているのは明白で,海外売上比率は2%未満となっています.
- 一部高齢層に対するブランド力の低さ
若年層にはほとんど記憶がないと思われますが,雪印メグミルクは最大級の食中毒事故を2000年に起こしています.
「2つの事件」の概要と「雪印八雲工場食中毒事件」について|CSRマネジメント|雪印メグミルク株式会社
20年程度経過したとはいえ,40代以降の方の中には雪印に対してよいイメージを持っていない方がいるのは間違いありません.
雪印メグミルクの今後
中期経営計画から見る今後の施策
- 2026年に売上高7000~8000億円,営業利益300~400億円
- チーズのインドネシア,オーストラリアを主とした継続した国際展開
- 機能性ヨーグルトの拡充
- 機能性食品事業のラインナップ強化
- 種苗事業に対するトータルソリューション提供
キーポイント
- チーズのインドネシア,オーストラリアを主とした継続した国際展開
ここが一番重要なのは間違いないです.売上高として2026年に7000~8000億円という目標は今後人口が縮小していく日本を主戦場としたままでは到底達成できないと推測されます.ヨーグルトや機能性食品の市場規模は現状では増加傾向にあるものの,今後10年までに人口分布から考えてピークアウトするのは確実で,成長のために海外展開は必須となっています.
雪印メグミルクは就職先としてあり?なし?
- 勤務地
事務系→全国各地
技術系の研究職→北海道・埼玉・山梨
技術系の開発職→北海道・茨城・千葉・埼玉・神奈川・愛知・京都・兵庫・福岡
比較的関東周辺が多いイメージです.
- 将来性
成長性という意味での将来性は高くないです.海外展開がうまくいっていない現状をいかに打破するかがポイントとなってきます.一方で,存続という意味での将来性は非常に高いと言えます.不祥事を起こして以降,継続した企業努力によってブランド力が回復を遂げ,不買運動等はなくなりました.今後不祥事を起こさない限りは,シェアを大きく落とすことはないでしょう.
- 年収
705万円
明治と比較すると多少劣るようです.
乳業を中心とした事業に携わりたく,国内重視志向な方にはありかと思います.海外売上比率が非常に低いので基本的に国内重視な働き方ができます.一方で,自分の手で国際展開を行っていきたい人にもありだと思われます.グローバル化を行う段階のほうが海外駐在のチャンスは非常に多くありますので,インドネシア,オーストラリアに駐在したいという方にはありでしょう.
以上ご参考になれば.
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