スバル
富士重工業株式会社から改名してSUBARUとなり,車両事業に全力なように感じます.
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
スバルとは?
創業:1953年
売上高:3兆3260億円
従業員数:32,599人(連結)
本社:東京
勤務地
本社は東京にありますが,基本的には
自動車→群馬県太田市.パワーユニット等の電気系開発が東京事業所
航空機→栃木県宇都宮(研究開発),愛知県半田市(生産)
となっています.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2017」より引用しています.
スバルの事業内容は2種類存在しています.
- 自動車
総売上の94.8%を占めます.よく見る自動車を製造しています.
- 航空機
総売上の4.2%を占めます.戦闘ヘリコプターAH-64D / 多用途ヘリコプターUH-1J / 初等練習機T-5 / 無人偵察機システム / ボーイング777中央翼 / ボーイング787中央翼などを製作しています.民生用としてはボーイングの中央翼を製造しており,国からの仕事としてヘリコプターなどを作っていますね.
以降では自動車事業に限ってお話します.
スバルの売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
売上高は上昇傾向にあることが分かりますね.なんとスバルは5期連続で過去最高を記録しています.まさに破竹の勢いです.一方で,営業利益は2016まで上昇していたのに,2017年に大きく下落してしまっています.これは,タカタによるエアバック問題によるリコール費用と為替レートによる影響が響いたためです.
ただ,こういった一時損失があったにも関わらず,営業利益率が12.0%という異常な数字をたたき出しています.メーカーでの営業利益率の平均は5%程度と言われていますので,ここ5年の勢いがよくわかると思います.これはスバルがアイサイトや安全性能などの先進技術を積極的に搭載し,ブランド価値を高めた成果と言えます.
なお,自動車メーカーの売上高や利益は為替の影響を強く受けますので,販売台数で判断したほうが好調か不調か判断しやすいです.まぁスバルの場合もう好調であることは分かりきっているのですが,一応見てみましょう.
明らかに上昇傾向にありますね.それもそのはずで,スバルは5期連続で販売台数で過去最高を記録しています.表を見て気付いた方もおおいと思いますが,スバルはアメリカに全力です.70%がアメリカというアンバランスな状態になっています.
そんなスバルの各国でのシェアを見ていきましょう.
日本:5位.4.3%.14.4万台
中国:?位(日系7位).0.5%程度.4.4万台
アメリカ:8位(日系4位).3.8%.64万台
ロシア:26位(日系5位).0.4%.0.6万台
ドイツ:29位(日系7位).0.2%.0.7万台
タイ:圏外
インドネシア:圏外
*1
見て分かる通り,アメリカと日本でしかシェアを確保できていません.アメリカでは日本の3大メーカーの次点に付けており,アメリカ集中の成果は出ています.ですが,果たしてこんなに一か所に傾倒してよいのか・・・.考えていきましょう.
スバルの強み
- アメリカでの安定した地位
世界第二位の巨大市場であるアメリカで,安定的な地位を築いていることは評価されるべきでしょう.アメリカでのシェアは3.5%ですがこれには偏りがあり,米国北部で5.0%,米国南部で1.8%となっています.したがって,米国南部においてさらに販売量を増やせる可能性があります.
- ブランド力の高さ
スバルにはコアなファンがついており,スバルだから買うという顧客を一定数抱えています.どのようにしてここまでブランド価値を高めたのか.その始まりは水平対向エンジンやシンメトリカルAWDによるオリジナルな技術力を持っていたためです.特に水平対向エンジンは低重心を実現しやすく,より安定した走行を可能としています.さらにスバルはブランド価値を高めるために,「安全」というキーワードを用いました.その実績としてスバルのアイサイト搭載車は全てTSPを獲得しています.
このようにして,走る愉しさと安心を両立した車両を製造したこと+アピール戦略が上手だったために現在のブランド力を手に入れました.
- アイサイト
こちらに詳細にまとめられていますが,スバルがアイサイトを搭載したことによって,衝突被害軽減ブレーキの普及が一気に進みました.アイサイトの特徴はレーダーではなくステレオカメラで物体認識を行っている点にあります.アイサイトの研究自体はもう20年以上なされてきており,スバルはこの分野において確かな技術力を有しています.アイサイトという名称を持っていること自体も相当な強みといえるでしょう.
- 高い利益率
他社を圧倒する営業利益率は経営的な余裕を生み,強みと言えるでしょう.ここで稼いだお金をどう使うかで将来が変わってきそうですが・・
スバルの弱み
- アメリカ・日本以外での存在感のなさ
これは言うまでもないですが,アメリカと日本に経営資源を集中しているので仕方ないですが,今後の成長のためには中国市場でもう少し頑張る必要があると思います.しかも中国では生産工場を持っていません.これ以上の成長を望まず,維持でよいのであれば現状のままでよいと思いますが・・
- EV関連の技術がない
EVを頑張るほどの資金力がスバルにはありません.したがって,外部から輸入してくる必要がありますが,その提携先として現在はトヨタとなっていますね.今後,中国での売り上げを拡大していくためにも,EV技術は手に入れておく必要があります.
- 自動運転では無人運転を目指さない
スバルが考える自動運転はドライバーの運転負荷を大幅に低減させる高度運転支援技術と銘打っており,無人運転は目指しません.正直,これに関してはかなり不安を覚えます.無人運転搭載の車かそうでない車か,どっちを買う?なんて聞かれたらよっぽど値段に違いがない限り無人運転搭載の車を買いますよね.ましてや,車で長距離移動をすることが多いアメリカなんてこの傾向が顕著だと思います.これはすぐにでも方針転換すべきだと思います.
スバルの今後
今後の施策
- 2018年にPHEVの提供開始
- 2021年にEVの提供開始
- アイサイトを進化させることによる高度運転支援技術の確立(無人運転ではない)
- 米国南部での販売量増加を狙う
- 2019年にタイにおけるノックダウン生産の開始
- IT戦略本部を立ち上げ,コネクティッドカーサービスに向けた協議を進める.
以上のようなことを行っていくようです.気になったものだけピックアップしていきます.
キーポイント
- 2019年にタイにおけるノックダウン生産の開始
いくら何でもアメリカに偏りすぎなので,今後成長が見込まれる東南アジアへの投資は必要だと思います.既にトヨタが幅広い販売網を築いていますので,アライアンスを活かして何とか販売台数を伸ばしいくべきでしょう.
- IT戦略本部を立ち上げ,コネクティッドカーサービスに向けた協議を進める.
「愉しさ」と「安心」をブランド価値の源流としているのであれば,コネクティッドカーの相性は非常に良いと思います.故障診断であったり,災害時の通過可能経路検索が安心面につながりますし,コネクティッドカーから提供される情報サービスが愉しさに繋がると思います.これをスバルだけで実現していくのは不可能ですので,トヨタアライアンスを活かしていくべきでしょう.
スバルは就職先としてあり?なし?
- 勤務地
自動車→群馬県太田市.パワーユニット等の電気系開発が東京事業所
航空機→栃木県宇都宮(研究開発),愛知県半田市(生産)
- 将来性
無人運転を目指さないのが致命的に痛いと思います.あと5~10年は大丈夫でしょうが,それ以降はかなり怪しいのではと推測します.
- 年収
3大メーカー(トヨタ,日産,ホンダ)グループより低い三菱,マツダグループよりさらに低い.
- その他
ぱっと調べた感じ,残業が多いようです.
群馬の田舎に抵抗がなく,スバル車が好きな方にはありかと思います.
個人的には他の自動車メーカーのほうが全体的に魅力あるかなと思います.
以上ご参考になれば.
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www.atoq.tokyo
*1:自動車産業ポータル MARKLINESより