最近また福島第一原子力発電所において,
内部観察を目的としたカメラ搭載ロボットが投入されたようですが,
わずか数時間で故障したそうです(笑)
草も生えないですね.
投入する前から分からないものなんでしょうか.耐久テストとかしないんですかね.
このまま次々とロボットを投入して故障してを繰り返していては,通路もふさがってきますし,八方塞がりになりかねません.
なにか別の解決方法必要ですね.
そもそもどうしてロボットやカメラが放射線で故障してしまうのでしょうか?
人などの生物であれば放射線の影響を受けて壊れる=放射線障害が出るのは普段から聞いたりするのでわかりますが,ロボットやカメラは生物ではないのにどうして放射線の影響を受けるのでしょう?
そもそも,放射線とはエネルギーの弱い順からα線,β線,γ線,X線などと言われています.X線は最も馴染みがありますよね.健康診断とかの時に用いるあれです.最も透過力が高いため,内臓を通過して写真を撮影することができるのですね.
放射線はこうした電磁波であるため,電子機器に影響を及ぼさないはずがありません.その中でも最も影響を受けやすいのはロボットやカメラに必ず搭載されている半導体です.
近年の製造技術の発展により半導体の微細化はマイクロやナノレベルまで進み,多少の外乱の影響がとても強く出てきてしまいます.半導体は日常の中で使用する(日常レベルの電磁波の影響下)ことを想定しているので,強力な放射線にさらされた状態での使用は想定されておりません.
半導体はp型半導体とn型半導体を組み合わせることにより構成され,いわゆる電子バンドを利用した製品です.伝導帯や価電子帯のエネルギー差を利用して電子・正孔の流れを制御し,増幅器や整流器として作用しています.
よって,半導体に強力な放射線が照射されると,本来励起されるはずがなかった電子が動き回るようになり,流れてほしくない方向に電流が流れてしまいます.この逆電流によって整流作用が破壊され,機器全体が誤作動してしまう可能性があります.
また,放射線の影響により分子結合が乱され,欠陥が生じ得ます.この結果,バンド構造が変化し,想定する機能を発揮できなくなります.
このような悪影響により,半導体が機能しなくなることでカメラやロボットが機能を停止します.大変ですね.
では,何かしら対策をしないのか???
基本的に,重要な箇所は放射線を遮蔽できる板(鉛など)で遮蔽するのですが,カメラなどはそもそも外部の光を吸収しないと画像化できないため,どうしても放射線の影響を受けざるを得ません.しかも,こうしたロボットに搭載されるカメラはCCDカメラというものを搭載しており,まさしく半導体を利用して光情報を電気信号に変更し画像化しています.
よって,放射線の影響を受けずに画像を撮影することは不可能に近いのです.
では,実際に重要となってくるのは稼働可能時間です.
ロボットに搭載される半導体の数は何百,何千にも及ぶため,半導体単体の放射線テストを行ったところで全体に対する影響を複合的に知ることはできません.
実際にロボットを放射線に暴露するテストを行うしかありませんが,そんなテストを行える場所って実際には現地ぐらいです.
ですので,ロボット開発者たちは必死に頑張ってシミュレーションなどをしているのでしょうが,ぶっちゃけ現場にいれてからしか分からない部分が多いのでしょうね.
放射線に耐えるロボット作りも大変ですね!
原発自体は電力多様化の観点からは良いと思いますが,やはり事故が起こった場合の手立てが考案されていないのは問題ですね.
どうにかしてほしいところです.