【三井物産の今後と将来性】-資源・エネルギーに強み【企業分析】

三井物産株式会社

「人の三井」という格言が有名ですね.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

三井物産とは?

創業:1947年
売上高:4兆8921億円
従業員数:42304人(連結)
本社:東京

勤務地

基本的に東京本社勤務となります.
その他に中部,関西,中国,九州支社があり,若干名配属される予定です.
あとは業務に合わせて国内,海外問わず多数の出張や駐在が考えられます.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2018」より引用しています.

三井物産の収益・売上総利益推移は以下のようになっています.
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なお,単語が分からない方はこちらの記事を先に見ていただくと分かりやすいと思います.
商社の業績の見方.収益,売上総利益,純利益とは.営業利益はどこ? – AtoQ
2013年で米国会計基準から国際会計基準に変わっていますので,正確な比較はできませんが,おおよその傾向は掴むことが可能です.収益は波があるものの,基本的に4.5兆円前後で推移しています.規模的にはそこまで成長していない事が分かります.また,売上総利益に関しては基本的に収益と連動する形であり,同様に規模的には成長していないことが分かります.粗利益は16.3%となっています.

また,純利益推移は以下のようになっています.
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2016年以外では黒字を達成しています.2016年は三菱商事と共同出資しているチリの銅山において900億円の減損,その他資源の下落による1700億円の減損により合計2600億円の減損を発表し,三菱商事とともに赤字に転落しました.これを契機に資源への重点投資の見直しを図っています.2016年に前もって巨額の減損を発表したこともあって下振れ要因がなく,かつ各業種が好調であったため,2018年では過去2番目に高い純利益を達成しています.

三井物産は以下のような事業を行っており,その売上総利益構成比は以下のようになっています.
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金属資源が26%と飛び抜けてトップで,第2グループに機械・インフラ,化学品,エネルギー,生活産業があることが分かります.

鉄鋼製品

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各種鉄鋼製品の調達・供給,販売などを取り扱っています.規模自体は小さいものの,毎年黒字を達成しています
【主要な事業・関係会社】

  • 三井物産スチール
  • Gestamp Automoción(世界最大級の自動車向けプレス部品メーカー.出資比率:12.525%.)

金属資源

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鉄鉱石,石炭,銅,ニッケルなどを取り扱っています.2016年はチリ銅山において巨額損失を計上したため赤字に転落しています.それ以外では非常に高い純利益を叩き出しています.三井物産の中核をなす事業です.
【主要な事業・関係会社】

  • 鉄鉱石(オーストラリア.年6090万トン.世界の鉄鉱石生産量は14億トン)
  • 石炭(オーストラリア,モザンビーク.年12.8万トン.)モザンビーク事業は鉄道・港湾インフラ事業も含まれ,国家プロジェクト
  • 銅(チリ.12.7万トン.世界の銅生産量は2000万トン程度.)
  • ニッケル(フィリピン,日本)

機械・インフラ

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大型プラント,海洋エネルギー開発,船舶,航空,鉄道,自動車などを取り扱っています.2016年にはFPSO事業で大幅な減益となったものの黒字となっており,すべて黒字を達成しています.
【主要な事業・関係会社】

  • 三井海洋開発(FPSOに強み)
  • ガス関連事業
  • 鉄道車両リース事業

化学品

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基礎化学品,肥料・無機原料などを取り扱っています.例年,非常に安定した純利益を記録しています.
【主要な事業・関係会社】

  • 三井物産プラスチック
  • MMTX(年間生産能力130万トンのメタノール工場を新設)
  • Mitsui AgriScience International(欧米の農薬事業統括)

エネルギー

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石油やLNG,原子力燃料などを取り扱っています.16年は世界的な資源価格低迷により赤字となりましたが,その後順調に盛り返してきています.
【主要な事業・関係会社】

  • Cameron LNG(米国のLNG事業)
  • Tempa Rossa(西ヨーロッパ陸上における最大の未開発油田)
  • 三井石油開発

生活産業

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食品,リテール,製紙,不動産関連を取り扱っています.赤字と黒字を繰り返しています.これはブラジルで穀物集荷を行っていたMultigrain Trading社が過競争によって巨額赤字を計上しているためです.現在では切り離すことに決定したようですね.これ以外の赤字要因はほとんど存在していないので,今後は安定してくると思われます.
【主要な事業・関係会社】

  • 食品輸入事業(コーン,大豆,製粉用小麦,菜種,パーム油などで輸入量第1位となっています.)
  • コンビニ事業(セブンイレブンと協業している.出資比率1.8%)
  • 三井物産都市開発

次世代・機能推進

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ICT,金融,物流事業などを取り扱っています.規模は全く大きくありませんので,未来への投資という立ち位置です.
【主要な事業・関係会社】

  • Asia Pacific Mobile(インドネシアの通信事業.赤字が続いている.)
  • 三井物産アセットマネジメント

正直,何でもやりすぎているので書ききれません.気になったグループについて詳しく調べてみてください.アニュアルレポートに詳しく現在行われている事業について記載されています.

三井物産の強み

  • 資源・エネルギーの権益量が多い.

三菱商事と並んで,三井物産は資源・エネルギーに強みを有しています.莫大な権益量を握っており,資源需要があるうちは安定して稼ぐことができます

  • 食料品貿易に強み

日本への輸入量シェアでは,コーン,大豆,製粉用小麦など多数の品目で第一位となっています.

三井物産の弱み

  • 市況の影響を受けやすい

まだまだ資源比率が高いので,市況の影響を受けやすく,時には2016年のように赤字に転落してしまうことがあります.

三井物産の今後

中期経営計画から見る今後の施策

三井物産は,以下の3分野を中核分野と位置付けています.

  • 金属資源・エネルギー
  • 機械・インフラ
  • 化学品

一方で,成長分野として以下の4つを指定しています.

  • モビリティ
  • ヘルスケア
  • ニュートリッション・アグリカルチャー
  • リテール・サービス

キーポイント

  • ヘルスケア

東南アジアでの病院インフラ事業を拡大しています.今後,新興国での医療需要は急増すると見込まれており,ここで確実なシェアを築くことができれば,極めて高い利益をあげることができます.

三井物産は就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

基本的に東京本社勤務となります.
その他に中部,関西,中国,九州支社があり,若干名配属される予定です.
あとは業務に合わせて国内,海外問わず多数の出張や駐在が考えられます.

  • 将来性

潰れることはまずない.資源・エネルギーへの重点はやめたものの,世界的な需要は高まるばかりで,この分野でノウハウを有しているのは大きい.また,非資源分野においても積極的な試みがみられるので,今後成長してくると考えられる.

  • 年収

1419万円.

  • その他

資源・エネルギー,特にエネルギーに興味があり,グローバルに働ける方にはありかと思います.
エネルギーと機械インフラがやはり持ち味かなと思います.その他の資源分野なら三菱商事,非資源分野なら他の商社のほうが優位かと思います.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

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