三菱自動車株式会社
経営危機に陥り,日産・ルノー連合の一員となった三菱自動車
就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!
三菱自動車とは?
創業:1970年(三菱重工業からの独立)
売上高:2兆1923億円
従業員数:30507人(連結)
本社:東京
勤務地
勤務地は全国に点在しているが,最大の拠点は愛知県岡崎です.技術センター,EV技術センター,岡崎製作所が配備されています.
デザインを研究する場合は,東京デザインスタジオでの東京(本社)勤務になります.
パワートレインの設計や生産として,京都滋賀岡山にもありますね.
よって
研究開発→愛知県岡崎
デザイン→東京
設計・生産→愛知県・京都府の確率が高いが,ごく少数で滋賀岡山
となります.
事業情報
以下のグラフは特記していない限り「アニュアルレポート 2017」および「業績・財務データ」より引用しています.
三菱自動車の事業内容は自動車のみです.
三菱自動車の売上高・営業利益推移は以下のようになっています.
売上高は2015年までは上昇基調で進んでいましたが,燃費不正問題によって2016年に激減しています.ブランドイメージ棄損による販売不振が原因だと思われます.一方で,日産・ルノー連合に吸収されたのち,迅速な改革を行うことで2014年レベルまで復活を遂げました.
同様に営業利益も似たような動きをしており,燃費不正問題に伴う悪影響で営業益は赤字すれすれまで低減しました(特別損失を計上したため,純利益は赤字です)が,現在はV字回復を遂げています.
自動車会社の経営成績は為替に強く影響を受けるため,販売台数で判断したほうが好調か不調かを判断しやすいです.
三菱自動車の販売台数実績は以下のようになっています.
燃費不正問題で落ち込んでいた販売台数が2014年の水準までV字回復しています.
この調子で伸ばしていき,過去最高を記録できるかが争点になってきています.
三菱自動車のシェアについて見ていきましょう.
日本:乗用車11位.1.1%.3.5万台.軽自動車5位.3.0%.5.5万台
中国:かなり下.1%程度.12.9万台
アメリカ:15位(日系6位)0.6%.10.3万台
タイ:4位(日系4位).8.0%.6.9万台
インドネシア:4位(日系4位).11.1%.12.1万台.
ドイツ:20位(日系4位).1.3%.4.3万台
以下のサイトを参考にまとめました.
*1
世界や日本の巨大自動車メーカーと比べると売り上げが1桁落ちる分,やはりシェアに直すと結果としては芳しくありません.ただし,この規模からすればタイ・インドネシアでの占有率は褒められるべきでしょう.このシェアは日産やルノーよりも高く,だからこそ日産・ルノー連合は三菱を吸収することで苦手分野をカバーしようとしました.
- 燃費不正問題に関して
三菱自動車は2016年に燃費不正問題が発覚し,約2000億円の赤字を計上する結果になりました.正直,金額だけ見れば経営破綻するような可能性はありません.
では,なぜわざわざ日産と資本提携を行ったのか?
それは三菱自動車自身が自力での体質改革を不可能だと考えたからだと推測します.三菱自動車は過去にも不正を繰り返しており,ようやく最近体質が改善されてきたな・・と思われていたところで再度の不正が発覚しました.よって,もう内部だけの力で改善するのは困難だと判断したのでしょう.
そこで新たな提携先を探すわけですが,三菱グループに戻ったところでシナジーを発揮できず,将来的な自動車開発競争を生き残ることは難しいです.したがって,自動車会社で良い会社がないかを考えた結果,元から軽自動車でOEMなど協力を行っていた日産に目を向けたわけですね.
日産・ルノーとしても,アジアに強みをもつ三菱自動車と提携すれば,苦手なアジア地域をカバーすることができ,win-winな関係が築けると考えました.
こういった経緯で三菱自動車と日産・ルノーは提携を行ったのだと思われます.
三菱自動車の強み
- タイ・インドネシア・フィリピンなどアジア地域に強い
三菱自動車の強みはアジア地域が強いことです.実際,タイにおいて日産と三菱自動車の販売台数を併せれば,僅差ではありますがホンダを抜いてシェア3位に踊りでます.今後もアジア地域を重点的に強化していくようです.
- 四輪駆動やPHEV+SUVに強み
もともとランサーエボリューションを製造していたことから,四輪駆動は十八番的な側面があります.したがって,四輪駆動に関する技術はかなり有していると思われます.また,世界的に注目度が高まっているSUVとPHEVの両方に焦点を当て研究開発を行っており,PHEVアウトランダーという車両を生産しています.実際,この車両はEV/PHVの世界販売台数ランキング【2018年上半期】で11位を記録しています.
*2
- 三菱重工業などの三菱系列の技術力を手に入れられる
三菱重工業などともよく共同研究をしており,三菱重工業が有する高い技術力を自動車にスピンオフすることができます.
三菱自動車の弱み
- 上記以外
資金力が乏しいことから,どうしても資金を集中して1点集中的に競争力のある製品を開発せざるを得ません.したがって,SUVのブームが終わったり,アジア地域が不況に陥った場合には著しい業績悪化が見込まれます.経営的な安定性が弱いです.
ただ,そのうち日産かルノーの完全子会社になると推測されるので,そこまで懸念する必要はないかもしれません.
三菱自動車の今後
今後の施策
- アジアでのプレゼンス強化
- 信頼回復に向けた社内改革
- googleと次世代インフォテインメントシステムでの提携
- アライアンス面から見た経営効率化
などが挙げられます.気になったものをピックアップします.
キーポイント
- アジアでのプレゼンス強化
2017年2月にフィリピン工場で「ミラージュG4」の現地生産を開始.
2017年4月にインドネシア工場の操業開始.
2018年12月にアウトランダー用エンジンの現地生産を開始.
以上のような施策を行っていくようです.これらを実現することで,アセアンでの生産能力は60万台を超え,海外売上能力の40%をアセアンに集中することになります.
- googleと次世代インフォテインメントシステムでの提携
日産・ルノー・三菱連合がグーグルとの複数年契約にこぎつけました.これはAndroid OSを車両に搭載することで,スマホ等で利用できているgoogleマップやgoogleアシスタント,電話対応などのグーグルが提供するサービスを利用できるシステムです.
個人的にはこれはかなり便利なのではないかと考えています.グーグルアカウントさえ持っていれば,音楽も聴けるし,googleマップによるナビも使えて,支払いもできるようになるのでは.これは他の企業に対してかなりのアドバンテージを得られると思います.2022年までにかなりの車両台数に搭載される予定です.
三菱自動車は就職先としてあり?なし?
- 勤務地
研究開発→愛知県岡崎
デザイン→東京
設計・生産→愛知県・京都府の確率が高いが,ごく少数で滋賀岡山
- 将来性
連合に入ったことで当面は大丈夫そう.アジア地域でのプレゼンスが増していくでしょう.
よって,アジア地域への出張・赴任が多くなります.
最終的に日産の子会社になることで,少しゴタゴタがありそう.給料はあがるかもね.
- 年収
日本3大メーカーに比べれば劣ります.
日本3大自動車メーカーより良い点はあまりないので,
愛知などの田舎へ住むことに抵抗がなく,田舎間の転勤を受け入れられ,アジア地域に嫌な思いがなく,三菱の車両が好きな方にはありかと思います.
以上ご参考になれば.
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