【伊藤忠の今後と将来性】食料(ファミマ!)や繊維に強み【企業分析】

伊藤忠商事株式会社

5大商社の一角を成す伊藤忠商事.

就職先としてありなのかなしなのか見ていきましょう!

伊藤忠とは?

創業:1858年
収益:5兆5100億円
従業員数:102,086人(連結)
本社:東京,大阪

勤務地

基本的に東京あるいは大阪本社勤務となります.
その他に中部,関西,支社があり,若干名配属される予定です.
あとは業務に合わせて国内,海外問わず多数の出張や駐在が考えられます.

事業情報

以下のグラフは特記していない限り「統合レポート 2018」より引用しています.

伊藤忠の収益・売上総利益推移は以下のようになっています.
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なお,単語が分からない方はこちらの記事を先に見ていただくと分かりやすいと思います.
商社の業績の見方.収益,売上総利益,純利益とは.営業利益はどこ? – AtoQ
収益は波があるものの,上昇基調にあるように見えます.一方で,売上総利益は収益ほどの波がなく,確実な上昇傾向にあります.粗利益率は22.0%となっています.
また,伊藤忠の純利益推移は以下のようになっています.
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純利益に関しても上昇傾向にあります.2017年度は過去最高益を達成しました.また2015年度は,三菱商事や三井物産が資源分野で多額の損失を計上した一方で,伊藤忠は資源割合が低く,他分野が好調であったことから5大総合商社内で純利益第一位となりました.ただし,現在は再度三菱商事が第一位となっています.

伊藤忠は以下のような事業を行っており,その純利益構成比は以下のようになっています.
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今年度は資源価格が高騰したため,金属カンパニーが第一位の割合となっています.

繊維カンパニー

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繊維資材,素材,服飾資材,アパレル,ブランドビジネスを取り扱っています.基本的に薄利多売なビジネスであるため,純利益自体はそこまで高くありませんが,景気に左右されにくいので安定して200億円前後を稼ぎだしています.近年では赤字になったことはありません.基本的な方針としてはAI・IoTやECサイトを通じて販売の次世代化を行っていくようです.
【主要な事業・関係会社】

  • ジョイックスコーポレーション(出資比率100%.Paul Smith,Duffer,LANVIN,Vivienne Westwood Manを展開しています.)
  • 三景(出資比率100%.RFID,服飾素材など)

機械カンパニー

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プラント,電力,船舶・航空,自動車,建設機械,産業機械,医療機器などを取り扱っています.非常に業績が安定しており,近年では赤字になったことがありません.2011年では231億円だったのが最近では500億円前後で推移しています.また,このカンパニー内でもプラント・電力を注力分野に位置づけています.
【主要な事業・関係会社】

  • 東京センチュリー(出資比率25%.国内トップクラスの大手リース会社.)
  • ヤナセ(出資比率66.1%.ディーラー兼,高級中古車,クラシックカーの取り扱い.)
  • オマーン最大の海水淡水化事業へ出資.

金属カンパニー

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金属(鉄鉱石,アルミ,白金,ニッケル,石炭,亜鉛,鉛)などを取り扱っています.2015年は資源価格が低迷した影響で,総合商社全社的に金属分野は赤字に転落しています.一方で,その低迷が改善されたため現在は高い純利益をたたき出しています.市況の影響を受けやすいので,業績は不安定です.石炭および鉄鉱石に注力している印象です.
【主要な事業・関係会社】

  • Whaleback鉱山(オーストラリア西部中核鉱山.鉄鉱石)
  • Rolleston鉱山(オーストラリア東部鉱山.石炭)
  • Ruddock Creek鉱山(アメリカ北部.亜鉛・鉛)

エネルギー・化学品カンパニー

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石油,LNG,各種化学品を取り扱っています.2016年は資源(原油)価格が低迷した影響で減益となっています.基本的に200億円前後で推移しています.こちらも市況の影響を受けやすいので業績自体は不安定です.また,このカンパニー内では化学品を注力分野として位置づけています.
【主要な事業・関係会社】

  • アゼルバイジャン共和国領カスピ海海域ACGプロジェクト(出資比率3.64%.2049年まで契約)
  • Agromate Holdings(マレーシア最大級の肥料製造販売会社)
  • 北海油田開発プロジェクト(出資比率23.08%)

食料カンパニー

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原料,素材,リテールを取り扱っています.純利益は基本的に拡大傾向にあります.500億円前後以上で推移することが多く,伊藤忠の中でも有望な稼ぎ頭です.ファミリーマートやDoleを有しており,日常での接点が最も多いカンパニーでしょう.チョコレート用油脂は国内シェア5割,世界シェア3割と非常に高くなっています.
【主要な事業・関係会社】

  • ユニーファミリーマートホールディングス(出資比率34.67%.国内コンビニ数第2位)
  • Dole International Holdings(出資比率100%.世界最大の青果物メジャー.米国パイン缶詰,ジュース等でシェア1位)
  • 日本アクセス(出資比率93.77%.国内食品卸売売上第2位)

住生活カンパニー

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木材,建材,紙,パルプ,天然ゴム,住宅,物流などを取り扱っています.純利益は徐々にではなりますが,拡大傾向にあります.このカンパニー内では,木材・建材を注力分野と位置付けているようです.
【主要な事業・関係会社】

  • 伊藤忠建材(出資比率100%)
  • 伊藤忠都市開発(出資比率100%)
  • METSA FIBRE OY(出資比率24.9%.世界最大級の針葉樹パルプメーカー)
  • 北米の木製フェンスでシェアが過半数以上

情報・金融カンパニー

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情報,金融,保険,通信業務を取り扱っています.純利益は安定しており,今後も安定的に成長していく見込みです.このカンパニー内では,金融・情報を注力分野として位置づけています.今後,全社的にAI/IoTを成長の鍵としていることからこの分野は非常に重要視されていると思われます.
【主要な事業・関係会社】

  • 伊藤忠テクノソリューションズ
  • オリエントコーポレーション
  • コネクシオ

伊藤忠の強み

  • 繊維カンパニー

他の総合商社に比較して,繊維カンパニーの規模が大きくこの分野に強みを有しています.

  • 食料カンパニー

穀物取扱量に関しては丸紅のほうが優位ですが,青果物に関しては伊藤忠が占めるシェアが大きいです.また,ファミリーマートを経営しており,リテール業に関してはセブンイレブンに次ぐ大きさとなっています.セブンイレブンは住友商事と協業していますが,出資比率は小さいです.ローソンは三菱商事.

  • 非資源分野の割合が高い

資源分野の割合が小さく,市況の影響を受けにくいです.実際にこの強みを活かして,2016年には総合商社として初めて三菱商事の純利益を勝ち越し,第一位の座に輝きました.今後も資源系が悪化するたびに伊藤忠は第一位になってくると思われます.

伊藤忠の弱み

  • 収益地域が日本に偏っている

収益地域が日本に偏っており,68%となっています.今後成長していくためには内需に頼らず,よりグローバル化していく必要があります.

伊藤忠の今後

中期経営計画から見る今後の施策

  • 流通システムのスマート化
  • 次世代モビリティ社会(所有から利用へ)
  • 非資源分野強化の継続
  • 大規模投資は行わない
  • 次世代・新技術への積極的投資

を行っていくようです.

キーポイント

  • スマート化

流通システムやリテールのスマート化を推し進めていく,この点に関して総合商社の中で一番力を入れていく印象を受けました.こういった分野は今後成長が見込め,既存産業の驚異的な効率化を推進できます.伊藤忠は繊維や木材,食品など薄利多売商売が多く,スマート化が与える影響は他の総合商社より大きいと考えられます.ただし,こちらの分野に対しても大規模な投資は行っていかず,一定以下の投資を行い,リスクマネジメントを確実に行っていくようです.

伊藤忠は就職先としてあり?なし?

  • 勤務地

基本的に東京あるいは大阪本社勤務となります.
その他に中部,関西,支社があり,若干名配属される予定です.
あとは業務に合わせて国内,海外問わず多数の出張や駐在が考えられます.

  • 将来性

潰れることはまずない.資源分野に関しては強くないものの,非資源分野に強みを有している.資源分野がこのままの調子で高騰していった場合,総合商社として1位になることはないでしょう.しかし,資源分野が落ち込んだ場合には,総合商社として1位になる可能性が秘められています.

  • 年収

1383万円

食料あるいは繊維に興味がある方にはありかと思います.
食料はファミリーマートを有しているので,リテールに興味がある方にもありですし,青果物が好きであれば良いと思います.ただし,穀物を取り扱いたいのであれば丸紅が良いでしょう.繊維は総合商社有数であり,伊藤忠一択だと考えられます.

以上ご参考になれば.

他の企業はこちらから.
www.atoq.tokyo

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